読書猿さんの「独学大全」は、知の向上に軸を置いた史上最強の人生指南書だった

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待ちに待った読書猿さんの「独学大全」がついに刊行されました!

紙か電子書籍か迷いましたが、電子書籍は10月21日発売なので、待ちきれず紙を購入しました。

独学のすべてを網羅した史上最高の一冊

「独学大全」は学び始めるところから、継続の仕方、情報の探し方や集め方、読み方、記憶法、考察のまとめ方などを55の技法で紹介しています。この本を読んで書いてあるとおりに実行すれば、ほぼゼロから始めて、「学ぶ」という行為を通じて、知を研究者レベルにまで高めることが可能です。

圧倒的な凄まじさを感じたのは、紹介されている手法のほとんどに学術的エビデンスが伴っていることです。つまり、誰でも再現可能であり、同様の結果が得られる、ということです。Twitterからヒントを得た手法さえも、エビデンスを提示していて、語彙力が吹き飛んで「すごい」しか言葉が出ません。

巻末には学習において重要な言語である「国語」「英語」「数学」を扱った独学の例があり、例に紹介されている書籍も非常に参考になります。

また、目次や索引を備え、注釈も豊富にあり、引用元も書籍、Webに関わらずすべて掲載されているため、本としても完全な形態を持っている、完璧な一冊です。

この本が、今の私たちと同じ時代に、この日本で出版され、母語で一番先に読めることを感謝してもしきれないくらいです。

我々を励ます、「独学は孤学ではない」という言葉

文中に何度も「独学は孤学ではない」という言葉が出てきます。

私も基本的に独学なので、独学と言っても一人で学んでいるわけではないことを最近感じるようになりました。知りたいことを本を読んだりネットで調べたりする際、調べた先には必ず本やネットの情報を「書いた人」がいます。

さらに言うなら、現在我々が使っている言葉自体も、自分で作ったものではなく、遠い昔に先人が作ったものを利用しています。

このように私たち人類は、膨大な知的営為の積み重ねの上に立っており、これをかのニュートンは「巨人の肩の上に乗る」と表現しています。このフレーズは前著「問題解決大全」「アイデア大全」にも登場しますが、本書でも通底している重要な示唆です。

つまり、独学であろうとも巨人の肩の上に乗ることで、先人の知を自分の知として取り入れることができ、そこからさらに先に進むことが可能だということです。私はこれが「独学は孤学ではない」という言葉の意味だと考えており、独学をしている人が孤独を感じたとしても、決してひとり進んでいる訳ではないことを思い返すことができる、力強い励ましの言葉だと感じています。

コーチング目線での感想

コーチング目線で捉えた場合、この本の第一部と第二部の7章までの内容を骨子にしてコーチングの流派がひとつ作れるくらい、動機や開始方法、継続、習慣化、時間管理、環境、何を学ぶか(=行うか)など、人生における行動変容に関しての実践的な手法がこれでもかというくらいに詰め込まれています。

したがって本書は、「知を端緒にした究極のセルフコーチング本」という側面も持っていて、本職の私としては戦慄を覚えます。

脳科学や心理学、行動分析はもちろん、文学や歴史にいたるまで、あらゆる知見を横断的に網羅されていると、内容にもたらされる厚みと重みが甚大で、コーチングのみに特化した私が太刀打ちできる余地はほとんどなく、打ちのめされた気分になりますが、本書で提唱されている「トラバース(知の横断)」の威力を生きた実例として見ることができます。

また、コーチングを行う上でのヒントもかなり得られました。第一部と第二部のほぼそのままコーチングのツールとして機能する他、P234の「ラミのトポス」は8つの質問をアレンジすれば、より精度を高めたコーチングの質問として運用することが可能だと考えています。

独学者としての感想

私の社会人になってからの学びは、コーチングを除いて独学ですが、方法についてはネット検索と読書をして、必要だったら手を動かす(コードを書くなど)だけだったので、本書を読み、かなり手ぬるいことがわかりました。要するに、改善の余地がかなりありました。

実のところ、最近は読書をしていて、物足りなさを感じるようになってきました。具体的には、最低でも修士以上の学位がある人が書いた本じゃないとダメになってきて、これから先は大学にでも入らないと無理だと思っていました。

文献の調べ方や探し方など、私が求める先についての道筋が示されていて、まずネットかAmazonで検索だった私は、内海でさまよう小舟だったということに気づき、早速コーチングについて検索してみたら、論文がいくつも出てきました。

また先日、ウィトゲンシュタインの「論理哲学論考」を読んで、これくらい歯ごたえがないと自分を押し上げることができなさそうだと思い、古典を片っ端から当たるつもりでしたが、本書では「古典原理主義」として看破され、タイミングが良すぎて笑ってしまいました。

読書法についても、非常に参考になりました。私は通読がさほど苦にならないのでデフォルトになっていますが、目的に応じていろいろな読み方を選んだほうが良さそうだと感じました。

まとめ

本書は独学に関わらず、すべての学習者にオススメできる一冊です。

700ページ以上あって読み通すのが大変ですが、一冊の本を最初から最後まで読めない人も、読み方がこの本に書いてあるので安心です。最初は無知くんと親父さんの対話だけでも役に立つので、少しづつ読み進めることをオススメします。

また、すでに読書習慣のある方も、その先へ進む方法やモチベーションの再点火についても記されているので、お役に立つこと請け合いです。「問題解決大全」と「アイデア大全」もそうでしたが、読み物としても大変面白いので、本好きの方にも全力でオススメします。

私は今後オススメの本を聞かれたら、人を選ばずに迷わず本書を奨めるでしょう。読書猿さんの弛まぬ積み重ねのノウハウを惜しげなく詰め込んだ、歴史に残る知の宝箱です。

おまけ:読書猿さんの芋づる式読書マップの書籍リストをまとめました。

備忘録:読書猿さんの芋づる式読書マップ
読書猿という人がいます。ものすごい読書家で、2017年に「アイデア大全」「問題解決大全」という2冊の本を出版しています。 私は読書猿さんのファンなのですが、先日Twitterで芋づる式読書マップというものをアップされていました。芋づる式読書...
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