覚えの悪い人に仕事を教える方法

ノウハウ・コツ
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はじめに

仕事をやっていく上で、後輩や部下、異動してきた人、アルバイトやパートの人に仕事をきちんと覚えて自発的にやってもらうにはどうしたら良いか、というのは職場に新しい人が入ると必ず通る道だと思います。

飲み込みの早い人だったら問題ありませんが、覚えの悪い人だったらどうでしょうか?

私はコーチングの会社を設立して独立する前、派遣社員として電子機器メーカーの品質管理部門に勤めていたのですが、入った時期が比較的早かったこともあって、仕事をしていくうちに現場のリーダーのような立場になりました。

後から入ってきた派遣社員や協力会社の人たちに仕事を教えることも多かったので、実践して効果を上げたやり方を紹介します。

余談ですが、電気を扱うのに「オームの法則」を知らない人(ありえない!)が入ってきたりして、どこから教えて良いか戸惑うこともありました。

この記事では、私が担当していた仕事の一部を任せることになった、やる気はあるんですが仕事の覚えが遅く、いつもオドオドして頼りない感じだったSさんに仕事を教えて、半年で劇的に改善した流れを說明します。

Sさんの仕事ぶりをみて、このままではマズい!と思った私が、これまで多くの人に教えてきた経験も活かして、どうしたら良いかを考えて辿りついたやり方です。

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1.メモを取ってもらい、書き方を教える

仕事をしていく上では当たり前なんですが、私がいた職場の派遣の方は割といい加減な人が多かったので、メモを取ることすらしない人が大半でした。メモを取らずに仕事を覚えられる人の場合は問題ありませんが、残念ながらそうでない場合のほうが多く、メモを率先して取ってくれる人は仕事ができる場合がほとんどでした。

さらに、仕事の覚えが良くない人に多かったんですが、「メモを取って」とお願いすると、内容を整理して書くということがわからずに、話したことをすべて記録しようとすることに気づきました。

説明するたびに時間が掛かって困ったので、どんな内容でメモを取っているかチェックして、内容を思い出せるポイントのキーワードを整理してメモしてもらうようにしました。
メモの取り方を知らないだけの人も多いので、書き方を教えるだけでかなり改善します。

ちなみに、私はキャンパスノートのA6サイズをメモ用に使っていました。小さいので胸ポケット等に入ってすぐに取り出せるので便利です。

2.まずは手順を教える

メモを取ってもらいながら、仕事の手順を教えます。

作業の効率を優先するため、どうしてそうするのか、という意味はここではまだ教えません。
理由は、一度に詰め込もうとすると混乱するからです。

何度かお手本を見せて、それから自分でやってもらい、ミスがないかチェックします。
ミスなくできるようになったら、一人で作業してもらいます。

内容をイメージしてもらうことも大切です。
Sさんもそうだったんですが、仕事の覚えが良くない人はイメージすることが苦手な人が多いようです。
その反面、一度定着すると絶対忘れないという特徴もあるみたいです。

これは感覚的なことで確かなことは言えませんが、NLPの代表システムでいうところのK(体感覚優位)の人に多いように思います。Sさんはそうでした。
V(視覚優位)の人は何事もイメージとして捉えることが多いので、仕事の覚えが早いように感じます。
A(聴覚優位)の人はその中間といった感じです。

代表システムに関しては、下の記事で詳しく紹介しています。

代表システムとVAKモデルで優位な感覚を知る

3.聞ける雰囲気と5分ルール

ここから自主性を高める段階に入ります。
メモを確認しながら作業をしてもらい、まず「わからなかったら何でも聞いて」とアドバイスします。
聞けないで一人で悩んでいる人もいるので、わからない場合はいつでも聞けるという、「聞きやすい雰囲気」を作っておきます。

その後、行き詰まったら「まずは5分考えて、それでもわからない場合は時間がもったいないので聞く」ように教えます。

その前は「わからなかったら何でも聞いて」と言いながら、「自分で考えて」「バランスが難しいけど判断して」という曖昧でやり方をしていたんですが、この方法を取るようになってから、私自身の作業をストップする率が減ったのと、時間のロスが減って、かなり効率が上がりました。

聞きやすい雰囲気をつくる方法については、下の記事をご覧ください。

話しやすい雰囲気づくりで対話をスムーズに
あなたが主に仕事中に話を聴いているときに「話をしてくれないな」と感じたことはないでしょうか。逆に、人に話をしているとき、「聴いてくれないな」と感じたこともあると思います。また、友人とはうまく話せていても、職場ではうまくいかないと感じているか

4.意味を教えて、「作業」から「仕事」へ

一人でひと通り作業がこなせるようになったら、ここで意味を教えます。
手順は覚えているので、意味を考えながら作業をすることができるようになるからです。

これで「どうしてそうするのか」という意味も覚えつつ、ひと通りできるようになります。
意味がわかることによって「やらされている感じ」が減って、納得して仕事をしてもらえるようになります。

この段階になると、これまで意味もわからずやっていた「作業」が「仕事」に変わり、当事者意識が芽生えて自主性も高まります。

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5.褒めて励ますことで自信を付けて、段階的にハードルを上げる

一番の重要なポイントですが、まず、できている作業を認めて褒めます。
「最初は動きがあまり良くなかったけど、テキパキできるようになってきたね」みたいな感じで成長していることを客観的かつ具体的に言うと良いでしょう。これで自信が付きます。

ここから、段階的にハードルを上げていきます。
例えばスケジュールの管理や他部署との調整など、ひとつづつ仕事を増やしていきます。
ここでもポイントは「〇〇はできているから、これもできるようになるから」とできることを認めてあげて励ますことです。

効果的な励まし方については、下の記事にまとめてあります。

効果的な励まし方で背中を押す
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まとめ

上のような感じで試行錯誤しながら二人三脚で進めていった結果、Sさんは半年くらいで単純な作業だけでなく、他部署との調整やスケジュール管理など、自発的にそして自信を持って仕事をしてくれるようになり、安心して任せられるようになりました。
今思い返しても、我ながらスゴイと思います。

冒頭に書いた通り半年後には効果はてきめんで、頼りなかった人が貴重な戦力になります。

また、具体的な仕事の教え方については、下の2冊が参考になります。

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