GRIT(やり抜く力)とコーチングの関係

コーチング
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私はここ数年、コーチングの効果について経験則に重点が置かれていて、理論的な裏付けが弱いのではないかと懸念していました。

先日オプティミズムの本とGRIT本2冊と「コーチング・バイブル第4版」を立て続けに読んで、ずっと探していたパズルのピースが見つかり、ピッタリとハマった感覚がありました。

どういうことかと言うと、「コーチングの目的のひとつはクライアントがGRITを身につけるため」と定義づけることが可能ということです。このように定義することによって、科学的な研究に基づいた学術的な裏付けをコーチングにもたらすことができます。

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この記事では、GRIT(やり抜く力)とコーチングの関係についての考察を示します。

コーチングにおける「本質的な変化」とは

コーチング・バイブルには、コーチングは「クライアントの本質的に変化を呼び起こす」ことが目的とあります。コーチング・バイブルは15年前から読んでいて、この「本質的な変化」とは何だろうと、何年もぼんやりと考えていました。

変化が起きることによって、クライアントの中で何らかの能力や資質が高まるような気はしていましたが、本を読みながらコーチングで行っていることを思い返すうちに、「本質的な変化=楽観主義やGRITを身につけること」と定義しても良いのではないかと考えました。

以下にその理由について、GRITとコーチングの関係をもとに説明します。

GRITの4つの要素とコーチングの関係

コーチングの具体的な目的は「クライアントの価値観や人生の目的や意義を明らかにして、それらに沿った行動を起こす、あるいはやめる選択を継続するサポートを行うこと」と考えています。

このコーチングの目的を考えた場合、GRIT(やり抜く力)を身につける上で必要な4つの要素と、コーチングで行う内容に相関があることに気がつきました。GRITを身につける上で、下の4つの要素が必要だとされています。

  1. 興味
  2. 目的
  3. 練習
  4. 希望

これから4つの要素に沿って、コーチングとの関係を示します。コーチングの説明としては順序が前後しますが、GRITを起点にすると以下のようになります。

1.興味

コーチングでは、様々なアプローチでクライアントの価値観を明らかにします。また、明確になった価値観を実生活でどれだけ満たせるかが、クライアントの幸福度に関わるため、日々の生活の中でどれだけ価値観を満たしているか、どうしたら満たせるかを継続的にチェックします。

例として、運動不足を解消して減量したいクライアントの場合を考えてみます。価値観を探すアプローチとして、子供の頃好きだだったことを聞き「自転車で走り回ること」を思い出したクライアントは「自転車を買ってサイクリングする」という行動を答えとして出し、楽しんで運動できるようになります。

このように価値観を満たす行動には、自然と興味が生まれ、情熱を持って臨むことができます。

2.練習

コーチングには守秘義務があり、クライアントが何でも自由に話せる「安全な場」を作ります。安全な場にすることによって、自分の想い(思考と感情)を止めることなく出すことができ、今まで気づかなかった想いを味わい、前に進むことができるようになります。クライアントが「ありのままの自分を出す練習」ができる環境を提供します。

また、何かをやり抜くには行動を積み重ねる必要がありますが、コーチングではクライアントが失敗を恐れず継続的にチャレンジできるようサポートします。具体的には、コーチングでクライアントが決めた行動について毎回検証を行います。主にコーチングの開始時に前回の振り返りを行うことによってどれだけ行動できているか、できていなかったら何が要因か探り、継続的に行動できるようなアプローチを行います。

このように、コーチングは行動を積み重ねるための練習の場として機能します。

3.目的

コーチングでは常に行動(doing)の目的、つまりゴールを明らかにします。人生を変えるには行動を変える必要がありますが、目的あるいはゴールは行動をする上での指針となり、次に進む方向を明示します。

また、興味の項で触れた価値観とも深く関わりますが、コーチングではクライアントの存在意義も明確にします。存在意義は、価値観に基づいた「その人自身が望むあり方の定義」で、このあり方(being)は人生における究極の目的と言えるものです。

ここで補足すると、コーチングでは行動(どうするか:doing)はもちろんですが、あり方(どうあるか:being)についても重視します。人は日々の生活で行動にばかり気が向きがちですが、あり方が行動の原動力となるため、上記の通り存在意義を明確にすることによって、目的が生まれて進む道に迷いがなくなります。

4.希望

コーチングではクライアントに対して、承認(認知)や励ましといったポジティブなフィードバックを行い、ネガティブなフィードバックはあまり行いません。

私が不勉強なだけで他の方は違うかもしれませんが、経験的にポジティブなフィードバックのほうが効果的な感じがするからそうしているだけで、なんでそうするのか深く考えていませんでした。ところが、「オプティミストはなぜ成功するか」を読んでこの答えが見えた気がしました。

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基本的に楽観主義、つまりポジティブでいたほうが成功する確率が高いことが研究で明らかになっています。また、悲観主義はこれまでの人生で経験的に身についたもので、後から訓練で楽観主義に変えられることも分かっています。

ところで、思い込みによるネガティブな自己評価をポジティブに変えるアプローチによって、クライアントが自信を取り戻したり、新しい視点で物事を捉えるようにすることはコーチングでよく行っていることです。これはまさしく悲観主義を訓練で楽観主義に変えていくプロセスだと言えます。

楽観主義はGRITの4つの要素である「希望」に包括されているため、希望については楽観主義を身につけることで満たすことができると考えます。

まとめ

以上のことから、クライアントがGRITを身につけることが、コーチングにおける本質的な変化を示すものと定義可能と考えています。

コーチングで行う内容は従来とそれほど変わらないと思いますが、GRITとコーチングが結びついたことで長年の疑問と懸念が払拭され、コーチングを行う目的と意義がより明確になり、ステージが上がったように感じています。

この記事が私と同じような想いを抱いていた、コーチングに携わる方の一助となれば幸いです。

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