個人で14年掛けて製作した2DサイドビューアクションRPG”ASTLIBRA”が面白かったので紹介

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今回紹介するゲームは、2007年から個人で14年掛けて製作され、今年(2021年)2月に完成した、2DサイドビューARPGの”ASTLIBRA(アストリブラ)”です。3週間ほど前に紹介記事を読んで興味を持ったので、ダウンロードしてプレイしました。

長編フリーゲーム『ASTLIBRA ~生きた証~』紹介&インタビュー。14年の開発期間によって描かれる、過去改変と戦いの果て - AUTOMATON
今回紹介するフリーゲーム『ASTLIBRA ~生きた証~』は、KEIZO氏が約14年間の開発期間を経て完成させた、長編2DアクションRPGだ。なお、本稿は前半が紹介、後半がKEIZO氏へのメールインタビューとなっている。

本作は、作者のKEIZOさんのページからダウンロードできます。

ASTLIBRA | K E I Z O
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私は2周プレイ(適正→地獄)してほぼ完全な状態までいきました。装備に未発見のものが1つか2つありそうなものの最強装備はゲット、GROWは全開放して憑依スキルレベルMAX、魔導クリスタル141個ゲット、最高難度の地獄でラスボスと闘技場を制覇して、mini外伝もクリアしたので、まあまあやり込んだと言えるでしょう。

そこで、この記事では実際のプレイ経験からASTLIBRAについてレポートします。

下のスクリーンショットはタイトル画面です。

雰囲気はレトロだけどストーリーやシステムは現代的

記事中のインタビューでも触れられていますが、ソーサリアンやイースIII(PC)、リンクの冒険(FCディスクシステム)などがお好きなようで、1980年代後半~1990年代のPCやファミコン、スーパーファミコンなど、古き良きゲームの雰囲気を醸し出しています。

ただし、3D全盛の昨今で基本となるゲームシステムこそ2DサイドビューARPGですが、内容については古臭さはあまりなく、懐古厨のためだけのゲームではありません。

グラフィックに関しては、演出にフキダシで”!”が出たりしてレトロな雰囲気を残しつつ、現在のPCが30年前と比べるまでもなくハイスペックなので、当たり前ですがPC98やSFCより圧倒的に美麗で、こういうのをやりたいという想いが伝わってきました。下は冒頭のシーンですが、背景がすごく綺麗で感動します。

スキルの演出もかなり派手で格好良く、特にコマンド入力で発動する魔法の最終形は圧巻かつメチャクチャ強くて気持ちいいので、ぜひGROW開放でゲットしてほしいところです。

ボスは基本的に大きく、巨体による体当たりや極太ビーム(避けないと死ぬ)などド派手な攻撃をしてきます。下のスクショは闘技場に登場するとあるボスですが、かなりデカく、突進して角をカチ上げてきます。

ストーリーと設定はファンタジーとSFの融合という現代のトレンドを反映しているのに加え、憑依スキルや奥義といったスキル、装備熟練度やGROWなどの育成要素や、闘技場や課金ではない本当のガチャガチャ、採掘やフィールド探索、アイテム合成などの要素が盛り込まれています。

下はどうしても取れなかった宝箱で、何度も爆弾で破壊しようとして10個以上ムダになりましたが、2周目をやり始めてから方法がわかって無事ゲットしました。

一見難しく感じる謎解きも、どこかに必ずヒントがあるので理不尽と感じることはありませんでした。ノーヒントのものは以前の応用で何とかなります。

ストーリーは全体的に暗めですが、適度に入るギャグやネタなど、重くなりすぎないバランスの良さにセンスが光っています。下のスクショはシリアスなシーンですが、呪文を逆さ読みしてみると…。

難易度は5段階から選択でき、アクションが苦手な人も安心です。

難易度は適正でもボス戦が結構キツめでしたが、レベル上げやGROW開放、闘技場の景品、武器熟練度を上げての魔法ゲットなど、充分に成長すればクリアできるようになっていて、最終的には最高難度の地獄でもラスボスが楽勝になります。

クリア後は、近年のトレンドである「強くてニューゲーム」も実装されているので、コンプリートを目指していて強くなりすぎて目的を失ってきたと感じたら、地獄でのプレイをオススメします。

コントローラーにも対応、ショートカットも便利

キーボードでの操作が基本ですが、コントローラーにも対応しています。私はコントローラーでしかアクションゲームができない体になってしまったので、PS4のDUALSHOCK4をUSB接続してプレイしました。

タイトル画面とゲーム内メニューの”OPTION”からボタンの設定が可能です。

コントローラーをゲーム内のオプションで設定する場合は、コントローラーを接続してからゲームを起動しないと反応しませんのでご注意を。面倒な方は”JoyToKey”などの設定ソフトをスタートアップに登録して使うと良いでしょう。

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アイテムをショットカットに登録して、メニューを呼び出さずにショートカットキー(Ctrl)で使える機能もあり、ユーザビリティが高いのも特徴です。

装備・GROW・憑依スキル・天秤によるプレイスタイルの多様性

ここでは、ASUTLIBRAにおいて面白さを倍増している各種システムについて触れたいと思います。

装備の熟練度アップで魔法と魔導クリスタルゲット

武器・盾・鎧の装備には熟練度があり、熟練度がMAXになると性能が強化されたり、魔導クリスタルをゲットしたり、魔法を覚えることができます。

魔導クリスタルを消費して魔法をセットできますが、強力な魔法ほど必要な魔導クリスタルが多くなます。また、魔導クリスタルは入手できる数が決まっていて、全ての魔法を使えるわけではないので、どうするか取捨選択を考えるのも面白いところです。

覚えた魔法は、当該の武器などを装備することでコスト0(魔導クリスタルなし)でセット可能です。したがって魔導クリスタルが足りない場合は、装備を変えて魔法をセットできるのも面白い点です。

下のスクショはコスト0で「ガーディアン」をセットした状態です。私は立ち回りに自信がないので「オートガード」「エクストラガード」など防御型の魔法がお気に入りです。

GROWでステータス上昇および憑依スキルやアイテムゲット

GROWでは、敵を倒すと入手できるフォースを消費して、ステータスを上昇させたり、宝箱や憑依スキルをゲットすることが可能です。どのステータスを優先して上昇させるか、宝箱や扉はどの順番で取るかなど悩ましいです。

また、章ごとにロックが掛かっていて、ストーリーを進めることで開放されます。

私は最初に攻撃力と防御力にできるだけ振って、あとは何も考えずに全て開放しました。

天秤は完全オリジナルの要素

ストーリーでも重要な役割を果たす「アストレイアの天秤」ですが、メニューの”LIBRA”から天秤皿にアイテムを乗せることで、ステータス上昇が可能です。

天秤に載せられるアイテムにはカルマが設定されていて、左右にカルマの差があると多い方に傾きます。また、左右のバランスが100に近いほど効果が高くなります。

良くも悪くも天秤なので、同じ効果が左右双方にある場合は互いに打ち消し合うので注意が必要です。

せっかく100にした組み合わせも、ボス戦で状態異常耐性を入れたりして変えると忘れてしまうので、マイセット登録も可能なのが嬉しいところです。

天秤皿は最初2つですが、ストーリーを進めたり、探索などによって増やすことができます。

組み合わせでビルドできるシステム

以上の組み合わせによって、例えば攻撃特化にしたり、防御を固めたり、特定の状態異常を防いだり、魔導力を上げて魔法主体にしたり、ドロップ狙いのトレハン仕様にしたりと、プレイスタイルや目的によって様々なビルドで楽しむことができます。

例えば、GROWと装飾品で「幸運」のステータスを上げて、魔法を「カロンの鼻(フィールドの宝箱数表示)」と「皮剥ぎ名人(ドロップ率アップ)」「ジャンプブーツ(ジャンプ力アップ)」「エアライド(ジャンプ回数+1)」「ダッシュ」などを組み合わせると、宝箱探索とドロップ狙いのトレハン仕様になります。

下のスクショはトレハン仕様の例です。枠内がカロンの鼻の効果。

ゲームエンジンを使わずに開発

近年のゲーム制作はUnityなどのゲームエンジンの利用が主流ですが、驚くべきことに、このASTLIBRAはシステムをゼロからフルスクラッチで製作されているそうです。それもたった1人で!マジパネェっす。

素材はフリー素材や依頼して製作されたものを使用しているようですが、プログラムと編集だけでどれだけ大変だったかと思うと、頭が下がる思いです。

mini外伝もいいぞ

もっとこの世界に浸っていたい思いから、同じシステムの別ゲームをやりたいと思っていたところ、2015年に公開されたmini外伝を発見。ありがてぇありがてぇ…!

ASTLIBRA mini 外伝 | K E I Z O
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本編でなぜか終盤のアレに関わっているけど、話もできずよくわからない立ち位置のパン屋の娘が主人公です。プレイしてみてそういうことだったのかと超納得。

しかも相棒は、本編に登場するポリン!

本編と同じく、憑依スキルや奥義も使えて、GROWや天秤、ガチャはないけど小さなメタルもあります。

さらにmini外伝では着せ替えができます!本編にも登場する服屋で、オリジナル衣装やシロやクロや??を購入して、見た目を変更できます。

mini外伝では、ランダム生成されるダンジョンを一方通行で下っていきますが、街に戻るにはアイテムを使用するか、中間地点で帰るしかありません。

ダンジョンは全部で5層あり、各層1~5・中間地点・6~9のステージで構成されています。各層の最後にはボスがいて、倒すと次の階層に進むことができます。

一言申し上げるなら、某ボスがギリギリすぎワロタwww

やり込んで超強くなったので見てください。ラスボスもゼウス1発です。

名前がわからない、だがそれがいい

ASTLIBRAではmini外伝も含め、プレイヤーが名付けることはできず、意図的に主人公の名前がわからないようになっています。

これはプレイヤーが日本語の名前や、あるいはネトゲになぜか多く存在する某有名作品の主人公(キ〇〇)など、世界観に合っていない名前でゲームの雰囲気が壊れるのを回避する策として、よく考えられていると思いました。

敢えて特定の名前にしないことで、プレイヤーが世界に入り込んで心ゆくまで堪能できるような配慮を感じたので、ここは高く評価したい点です。

まとめ

ASTLIBRA本編とmini外伝を両方プレイして、ストーリーや各種システムなど、隅々までよく練り込まれていると感じました。

登場するキャラはそれほど多くないにも関わらず、それぞれが密接に関わり合っていて、ストーリーがより濃密になっています。

KEIZOさんには同じシステムで、別の世界、別のキャラでもぜひ続けて作品を出して頂きたいです。個人的にはストーリーは簡素で構わないので、スキルやアイテムをより多くして、探索要素がさらにボリュームアップしたものをプレイしてみたいですね。

ASTLIBRAはゲームとしての完成度が非常に高いので、ゲーム好きでWindowsPCをお持ちの方はぜひプレイして頂きたい作品です。

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